小児喘息(生活上の注意)

アレルゲンの除去、回避は、喘息の生活指導の基本であるが、アレルゲンを確実に特定した上で行うことが前提である。問診を行い、発作が起きる場所や季節などを目安として、皮膚テスト、RAST検査でアレルゲン検査をする。ただし、抗体の高さだけでそれを原因としてはならない。例えば、喘息小児の約7割はダニのRAST検査で陽性になるが、それが必ずしも抗原物質とは限らない。アレルギーによらない喘息の誘因としては精神的ストレスやウィルス感染、たばこの煙による受動喫煙があり、走ったり運動したりすると発作が起こる運動誘発性喘息もある。また、小児では風邪や気候の変化の影響が大きく気候の変わり目の9−10月頃に喘息発作を起こすことが多い。

 

喘息の原因としてはダニが疑われば、寝室や室内をよく掃除する。具体的には、寝具類は1週間に1回以上、寝室は毎日掃除する。布団シーツ・カバー類も1週間に1回は洗濯する。アレルゲンがイヌやネコ、ハムスターなどのペットであれば、飼わないのが一番だが、どうしても手放せない時は、室外で飼ったり、頻回にペットを洗浄する。最近社会問題になっているシックハウス症候群の原因となる建材に含まれる揮発性有機物質によってもアレルギー性の喘息発作が生じることがある。

 

アレルギー以外の発作の誘因として注意したいのが受動喫煙である。たばこの煙は、小児喘息の悪化の大きな要因で、家屋内では絶対にたばこを吸わないようにする。

喘息の原因は一つとは限らない。子供の喘息が治らないのは、親の清掃の努力が足りないからだとご自身を責める必要はない。環境整備は、できるところから少しずつやってみましょう。

喘息発作の重症度は、小発作から呼吸不全まで4段階に分けられる。歩くと少し息切れがするというのは小発作であり、夜に時々目覚めてしまうのは中発作である。ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴があり、起座呼吸(横になって寝ていられない)があれば大発作である。最も重症な発作は呼吸不全である。

喘息の治療には、環境整備体の鍛錬心理的な安定適切な薬の使用―の四つのバランスが大切である。発作が出た時はβ2刺激薬などの薬物療法を行うが、大発作時には酸素呼吸、ステロイド吸入などが行われる。