シラカバ花粉症と口腔アレルギー症候群

 

)シラカバ花粉症

 

シラカバは日本では本州中部以北から北海道にかけて分布し、低い山の日当たりのよい適潤地に群生する。4月から5月に新芽とほぼ同時に開花し、雄花は暗紅色で長さ35cmの総状に垂れ(右下図)、雌花は紅緑色で上向きに咲く。シラカバ花粉症は北海道における代表的な花粉症であるが、長野県でも多く見られる。5月頃樹木花粉が飛散しアレルギー症状を訴える。季節性がはっきりしており6月中旬には寛解する。

 

)口腔アレルギー症候群の合併

 

シラカバ花粉症の患者に口腔アレルギー症候群(Oral allergy syndrome)(OAS)を合併することがある。これは特定の野菜や果物を摂取した数分後に、口唇や舌の腫れ、口腔内の瘙痒感などの局所症状が現れる即時型の食物アレルギーのことで、時には蕁麻疹や、アナフィラキシー・ショックを惹き起こす。OASを起こしやすい食物として、リンゴ、サクランボ、モモ、ナシなどバラ科の果物、プラム、メロン、スイカ、アンズ、キウイ、ビワなどの果物、ナッツ類、セロリ、トマトなどの野菜などが報告されている。シラカバ花粉とリンゴ、サクランボなどのバラ科の果物との間に交差反応があるためと考えられる。

 

)食物アレルギーと花粉症

 

以前はスギ花粉症患者には口腔アレルギー症候群(OAS)は見られないと考えられていた。しかし、スギ花粉症の患者が生のトマトを食べた直後にOASを惹き起こすことがわかり、スギとトマトが同じIgE抗体を認識し、反応することが証明された。このように食物アレルギーの一種である口腔アレルギー症候群(OAS)と花粉症の関連が注目されている。花粉症患者がなんらかの口腔症状を訴える時は、問診でトマト、リンゴ、セロリ、ピーナツなど果物、野菜、ナッツ類を食べたかどうかを確認する必要がある。

 

)口腔アレルギーに気をつけよう

 

花粉症にはスギ、ヒノキを含め約60種の抗原があり、その患者も年々増加しているので、口腔アレルギー症候群(OAS)も増えていくことが懸念される。特に最近は小、中学生に花粉症が増えており、注意深く問診を行うことにより学校給食の果物、野菜などに反応するOASを予防しなければならない。私たちはOASについて正しい知識をもち、最悪の場合は呼吸困難、ショックなどを引き起こす疾患であると認識する必要があり、OASの疑いがあればそれらの食べ物を控えるよう指導したい。